佳奈「…………ごめんなさい。こんな夜中に電話してしまって。」
匠『…いや…いい。……そうか。大和がそんなことを……。』
佳奈「………攻められても、仕方がないって思っていたのに………。」
匠『…そんなに思いつめなくてもいい。……それは、佳奈だけじゃない。俺も同罪だ。俺達の理由で、大和にもつらい思いをさせてしまっただろう。……親の勝手な都合で振り回されるのは、決まり決まって子供だ。………選べないのだからな。でも、俺達は選んでしまったんだ。それに………今頃、元には戻すことは出来ない……。』
佳奈「あなた……。」
匠『…でもな、佳奈。……間違っているか、間違っていないの問題ではないと思うぞ。そうやって、大和が言ってくれたのなら、それを信じてやるのが……親として出来ることじゃないか。それは誰にも……肩代わりは出来ない。………そうだろう?』
佳奈「…そう……そうね……。…ふふ。…まさか、あなたからそんなことを言われるなんて、思ってもいなかったわ。」
匠『………俺達がどうなったとしても、大和は、俺と佳奈の息子だ。』
佳奈「………ねぇ、あなた…………。大和に……会わない?」
匠『急に…どうしたんだ?』
佳奈「………私の勝手な都合で………大和があなたに会えないなんて………フェアじゃないわ。だから………。」
匠『いや………今はいいさ。大和がそう言ったのなら話は別だが………それに………今は、『一人』じゃないのだろう?』
佳奈「………えっ!?ち、ちょっとそれ……どういう意味……!?」
匠「もう俺は寝るぞ……。明日も早いからな。お休み。」
佳奈「あっ!ち、ちょっとあなたっ!………もう!」
通話を終えた後、私は
万に一つの可能性を考えていた。
もしかしたら……。
佳奈「…………。」
でも………これは聞くべきことでは
ないのかも知れないわね……。
佳奈「誰にも肩代わりは出来ない………か。全くあの人ったら………。」
私は、ふと空を見上げる。
無数の星々が、瞬いていた。
佳奈「………同じように見えても、一つ一つ、違うのよね。星は………。」