そして、深夜……。
私と大和はまだ起きていた。
久々にゆっくりと色々な話を
互いに交わしていたからだ。
大和「今日のドリア、すっごくうまかったよ、母さん。」
佳奈「そう、良かったわ。…隼はもう寝たの?」
大和「うん。お風呂入ったら『眠い』って言って、さっさと寝ちゃったよ。」
佳奈「そう……。ねぇ、大和……いきなりなんだけど、父さんのこと………覚えてる?」
大和「………えっ!?ど、どうしたんだよ、母さん。急にそんなこと聞いてきて。オレが小さい頃にしか…居なかったんだろ。……父さんは。」
佳奈「………そうよ。あのね、大和。今日の晩御飯のドリアはね……あんたの父さんも大好きだったのよ。初めて作ってあげた思い出の料理なの。」
大和「そ、そうだったんだ。知らなかったよ……。」
佳奈「……実は今日ね、偶然なんだけど父さんに会ってしまったの。」
大和「…………えっ?」
佳奈「父さん………大和のことを、心配してたわ。どうしているのかなってね。けど、私は何も言わなかったわ。今までにあったことも。」
大和「…………。」
大和は黙りこんで
何かを考えているようだった。
佳奈「………私と父さんの勝手な理由で、大和に迷惑かけたのは、今でも申し訳なく思ってるわ。でもね……。」
すると大和は突然
手を前に差し出して、こう言った。
大和「………母さん。オレは何にも思ってないから。だから、謝らないでよ。母さんと父さんが居てくれたから、こうやってオレがここに居られるんだからさ。」
佳奈「大和…………。」
大和の言葉に………私は
もう少しで泣き崩れそうになった。
そんな言葉を聞けるなんて
思っていなかったから…………。
大和「………オレ、そろそろ寝るね。母さんも、早く休んだ方がいいよ。じゃあ、お休み。」
そう言い残すと、大和は
自分の部屋へと戻っていった。
佳奈「……………。」
私は、側にあった携帯を握りしめると
思わず外へと飛び出した。