大和「さ、隼。手ぇ洗いにいこうか。」
隼「がってんだー!おてて、ふわふわー♪もこもこー♪」
二人が手を洗いに行ったのを
見計らって、私は手早く
『最後の仕上げ』にかかった。
もう、下拵えは出来ている。
後は………焼くだけね。
大和「んーっ!いい匂い!」
隼「ふわーっ!うまそうな、においだべー!」
二人とも、鼻をヒクヒクさせながら
洗面所から戻ってきた。
佳奈「今日は『ドリア』にしてみたのよ。たまには趣向を凝らして、ね。」
大和「やったあ!」
隼「やまとー。どりあって、なんだべかー?」
大和「んっ?『ドリア』ってのは、食べ物の名前だよ。ほら、母さんが作ってくれる『シチュー』あるだろ?」
隼「おっかあの、しちゅーだかー!?あれ、うんめえだなー!」
大和「簡単に言うと…それをな、ご飯の上からかけて、チーズを乗せて焼いたものなんだ。ま、ちょっと正確に例えれば………こんな感じかな。」
~ドリア~
米を使った料理の一種。
ピラフなど米飯の上に
ベシャメルソース(ホワイトソース)を
かけてオーブンで焼いた料理。
ちなみにドリアは
日本で生み出された料理である。
米飯をケチャップライスにしたり
バターライスにしたりと
いくつものコンビネーションが
楽しめる料理でもある。
隼「ふえー。おら、よくわかんねーだけど………うめえんだなー!」
大和「ま、まあ、そうだな…。…隼には『うまい』で通じるよな。」
隼「んだ!おら、うめえもん、だいすきだべー!」
そして、チーンという音が聞こえた。
どうやら……焼きあがったみたいね。
佳奈「さ、出来たわよ。二人とも座りなさい。………はい、沢山食べなさいね。」
私は出来上がったドリアを
テーブルに置いた。
ジジジジと、チーズの焼けた音が
微かに聞こえてくる。
大和「いただきます!………んーっ!うまい!」
隼「いっただきますなのだー!……あちちっ!あちぃよー。」
大和「ほらほら、ちゃんと『ふーっ』ってしなきゃ、熱いぞ、隼。」
隼「んだ!ふーっ、ふーっ……。ふわーっ!うめえだなー!」
大和も隼も、すごく嬉しそうに
ドリアに下鼓を打っていた。
そういえばあの人も……
私の作ったドリアが好きだったわね……。