第10話

ミルク「す、すいませーん!ち、ちょっと待ってくださーい!」



後方から、誰かの叫び声が聞こえる。
俺は思わず足を止めて振り返った。



匠「君は……先程の…。」



先程、喫茶店で会った若い男性と
あの小さな少年が俺の前に立っていた。
若い男性は苦しそうにハアハアと
息を切らしていた。



隼「やっと、つかまえただよー!」



一方、小さな少年は
息一つ切らしてはいない。
まだ小さいのによっぽど
体力があるのだろうか……?



匠「……俺に何か?」



すると小さな少年は
俺の顔を見てこう言った。



隼「おめさ、『やまとさ』とおんなじー!!におい、いっしょだべー!いっしょだよー。!」



やまとさ………?



まさか……大和なのか………!?



ミルク「………も、もしかして………あなたは………。」



ミルクと呼ばれていた男性は
呼吸を整えると、ゆっくりと
顔を上げて俺を見つめた。



匠「……本当に………大和なのか………?母さんの名前…………言ってみてくれないか………?」



半信半疑ではあったが
俺は敢えてそう聞いてみた。



ミルク「母さんの名前は…………『佳奈』です。津島………佳奈………。」



それを聞いた瞬間
俺は間違いないと確信出来た。



津島は………佳奈の旧姓だ………!!