匠「…………そうか。そう言うことだったんだな………納得したよ。色々なことがあって、大変だったんだな。…佳奈が、大和に会わせたくないって理由が………なんとなく分かったよ。」
大和「………母さんが………?」
匠「………ああ。きっと、俺にそれを知らせると、俺にとっては『重荷』になるだろうと思ったんだろう……。」
大和「………ねえ、父さん…。自分の息子がこんな風になって…………落胆した?」
大和は少し俯き加減になりながら
恐る恐る、俺にそう聞いて来た。
匠「いや………そうは思わないさ。大和は立派なことをしている。恥ずべきことではないさ。今更、俺自身が父親と名乗るべきことではないかもしれないが……俺は大和の父親として、それを誇りに思う。それに……元気で暮らしているのなら、それが一番さ…。」
大和「父………さん……。」
隼「やまとさの、おっとうー!おら、やまとさのこと、いちばんだいすきだー!これからも、ずっと、ずっといっしょだべー!いいだかー?」
隼と呼ばれた少年が、俺の手を掴んで
俺に訴えかけるようにそう言った。
……隼の手は、とても暖かかった。
小さな手だったが、何事にも負けない
強い勇気を兼ね備えているような
気がしてならなかった。
匠「…ああ。……隼くんと言ったね。君がそう言ってくれているのなら、大和も同じ気持ちで居るのは、言わなくても分かるよ。これからも大和のことを………頼んだよ。」
隼「………んだ!おらにまかせてくんろー!」
隼はニコリと微笑んだ。
そして力強く、頷いたのだった。