第4話

俺は、仕事を中心として
今までを生きてきた。
それが家族を支える糧だったからだ。



佳奈は元々『専業主婦』だった。
だからこそ家庭を佳奈に託したのだ。



愛していないと言えば嘘になる。
俺と佳奈の愛は…形になっているからだ。


大和という、俺と佳奈の愛の『結晶』に。



匠「………俺は間違ってなどいない。間違ってなど……。」



譫言のようにそれを繰り返していると
入り口の方から何やらガヤガヤと
数人の声が聞こえてきた。
どうやら客が入ってきたようだな…。



店員「いらっしゃいませ。…あら、いつもありがとうございます。いつもの席でよろしいですか?」



???「ええ。」



???「はい。」



???「んだ!」




女性と、若い男性…。
それにちょっと口調が訛った感じの
小さな男の子が三人連れで
俺の側を通り過ぎて
奥の席へと入っていった。